欲望ビジネスから見える、お金の流れ
僕にとってはちょっと不本意な歴史なのだが、一度だけ夜の業界の仕事を請け負ったことがある。
通常のお問合せであればもちろんお断りするのだが、お世話になった人からの紹介だったこともあり、仕事を受けた。
結果はさんざん。
紹介案件だったにも関わらずに、請負代金は払ってくれないし、脅されてしまうし。
だが、お金の動きに関してはとても勉強になった。
この業界は、お客さんの人間模様がよく見える。
夜の業界だと、お客さんが値切ってくことが多いらしいのだが、僕が仕事を請けた店は基本的にお客さんからの値引きには応じない。
普通の仕事であれば、値引き交渉は想定内であり、始めの提示金額も減額されても利益がでるように設定する。
しかし、この業界は強気である。
僕が仕事を請け負ったところの料金は、60分3万5千円。
他業界の自給を考えれば破格である。
それでも結局お客さんはこの金額で納得する。
自分の欲望のためなら平気で何十万も使う人がたくさんいる。お金がないというのは、自分のため以外に使う金がないというだけだ
僕にはまったく理解できない世界だったのだが、欲求というのはそれほど耐え難いものなのだろう。
そこの経営者が言っていた『人は自分の欲望にはお金を惜しまない』という言葉がとても印象に残った。
夜の仕事ではなくとも、このツボを押さえたサービスは、大きな対価を期待できるのである。