お客さんを上司だと思え

どこでも通用する人材になるためには

 

僕が新人の営業マンだったころに漠然と感じていたことがある。

それは、在籍している会社でいくら営業や経営ノウハウを勉強しても、その会社でしか通用しないのではないかということだ。

中には上司のやり方をまねて、すぐにいい成績を出す人もいた。

しかし、それが本質ではないように思っていた。

紆余曲折あり、僕はトップ営業マンになったのだが、今思えば僕の上司はいつもお客さんだった。

上司や営業本などから学ぼうとすると、やり方が人それぞれであり、なかなかスタイルの確立ができない。

だが、お客さんのニーズや悩み、要望や対応の仕方というのは芯の部分が似ていることが多い。

そこを軸に営業の仕方や商品開発、対応などを考えれば、おのずとお客さんの心が分かる人になっている。

 

お客さんを上司だと思え

 

お客さんの芯の部分や気持ちというのは、商品や会社などが変わっても共通する部分である。

これは、ネットサービスの社長も、メーカー会社の社長も、色々な社長たちが声をそろえて言っていた。

ここを押さえられれば、どこでも通用する人材になることができる。

創業者と社長は違う

創業者と社長は違う。創業者であれ。

 

社長なのに色々な事業に手を出したくなってしまう人へ伝えたい言葉。

僕が悩んでいた時にある社長にアドバイスをもらった。

当時の僕は1つの事業がうまくいきそうになると、なぜか情熱が薄れてしまって、他の事をすぐにやりたくなってしまう時期があった。

頼りになるスタッフがいるという理由もあるのだろうが、社長としていかがなものかと真剣に悩んでいた。

このことをお叱り覚悟で包み隠さず相談をしたところ、意外な言葉が返ってきた。

『君は社長じゃなくて創業者なんだから当然ですよ』と。

これを聞いた時の衝撃は今でもよく覚えている。

 

創業者と社長は違う。創業者であれ

 

言われてみれば確かに、社長というのは2代目、3代目と続いていくし、交代だって自由である。

その時に進めている事業を引き継げば誰にでも社長業は可能だ。

しかし、創業者はたった1人しか存在しない。

創業者とはつまり、アイデアを出し、それを形にして、仕事にする人だ。

いいアイデアがあれば試してみたくなるのは当然だということである。

もっと言えば、うまく行っている事業は分社化して他の社長に任して、新しい事業を作っていくことができるのが創業者の特権だ。

その創業者が新しいチャレンジをしなくて誰が新しいアイデアを世に出すというのか。

このように励まされ、目の前の霧が一気に晴れたような格言であった。

プラマイゼロのビジネス

プラスマイナスゼロでも、楽しめるビジネスなら無駄ではない

 

ビジネスをする以上、儲けたいというのが本音であるし、会社の使命でもある。

しかし、これから起業を考えている人には是非、儲け以外の視点でも事業を考えて欲しい。

これは都内に複数店舗出店している飲食店の社長が言っていた言葉。

 

儲けたいって言う気持ちも大事だけど、プラスマイナスゼロでもいいからやりたいと思える事を集める方が、人生は楽しい

 

この社長、飲食店以外にも保育所やサロンなども経営している。

飲食店の経営は順調なのだが、他の事業は正直プラスマイナスがゼロだという。

利益至上主義であれば、プラスにならないものは辞めるべきであろう。

だが、その社長は利益としてプラスマイナスがゼロでも、会社や自分にとっては非常にプラスが多いと言っていた。

その理由は2つ。

1つ目は、知識や見聞が広くなるということ。

例えば、サロンを利用するのは若い女性なのだが、若い女性の流行を知っていると、それが飲食の新商品開発に役立つという。

他にも、ママ友会や女子会が流行った時にスムーズに対応ができた経緯もあるとのこと。

2つ目は、自分の精神面にメリットがあるという理由だ。

いくら社長とはいえ、人間である。

時には落ち込んだり、飽きたり、飲食業が嫌になることがある。

その時にはサロンや保育事業に目を向けるのだという。

すると、新鮮な気持ちになれたり、起業した当初の気持ちを思い出したりできるのだそう。

このリフレッシュに非常に助けられているようだ。

もちろん、元々サロンも保育もこの社長がやりたかったことである。

だからこそ、利益以外の部分でもプラスが大きく、楽しいのだろう。

一生稼ぎたいなら自然体でいろ

長く幸せに仕事をするには

 

これは営業会社の社長との対談で聞いた格言。

営業と言えばノルマや数字に追われるイメージであるし、実際どの会社も目標数字の達成を目指して頑張っている。

営業を事業としている会社は慢性的に人手が足りない。

離職率が高いからだ。

そんな業界の社長に、稼ぐために本当に必要なことは何かを質問した時、このフレーズが出てきた。

 

一瞬だけ稼ぎたいなら相手に嘘をつけ、3年稼ぎたいなら自分に嘘をつけ、一生稼ぎたいなら自然体でいろ

 

僕も営業出身なので、非常に良く分かる。

営業などをしていると、成績を上げなければならないプレッシャーからオーバートークになりがちである。

オーバートークや嘘の商品案内は、当たり前だがお客ウケはいい。

もちろん契約も貰いやすい。

しかし長い目で見れば、お客さんからのクレームや解約がおき、その対応に掛かる時間とコストが利益を食いつぶしてしまう。

つまり、嘘をついて稼げるのは一瞬なのである。

3年稼ぎたいなら自分に嘘をつけというのは、転職や離職を考えると分かりやすい。

転職や離職をするにしても、とりあえず3年は務めて実績を上げるのが今の社会の流れである。

では、転職をする理由はなにか。

つきつめれば仕事や環境があっておらず、自分に合う職場に行きたいからだ。

自分に嘘をついて働いていても、3年くらいで限界がくるのである。

そのように考えていると、自分が自然体でいれる環境や職場が一番いいと言える。

多少の不平不満はあるかもしれないが、自分が自分でいられる仕事を見つけられれば、長く幸せに稼いでいけるのだ。

ちょっと稼げる事業を10個

事業を成功させる社長の思考とは

 

仕事の成功体験談を聞いていると、1つの事をがむしゃらにやった、死ぬ気でやったという話がでてくることがある。

もちろんすごいことだし、美談である。

だが、実際の社会はどうだろうか。

華々しい成功の裏で、相当数の会社が潰れている。

実際に3年間もたない会社が半数という説もあるほどだ。

美談には夢があり注目されがちなので、ついそのやり方がスタンダードなのかと思ってしまうが、これは危険である。

1つのことで成功できればいいが、失敗した時には立て直しがきかなくなってしまう。

事業を継続させるためには、まず潰さないことが第一命題だ。

そのためにはハイリスク・ハイリターンではなく、ローリスク・ローリターンのものをいくつか準備して、リスク分散をするほうがよい。

その上で、伸びそうな事業に注力していけばいいのである。

 

ものすごく稼げる事業1個よりも、ちょっと稼げる事業を10個やるほうがいい

 

実際に僕の知り合いの社長で、回線販売の代理店をしていた会社がある。

月に300万以上を売上げており、羽振りもよかった。

しかし、メーカー側の体制の変化により業績が悪化。

まさに音を立てるように潰れてしまった。

僕はさんざん柱を多く持てと助言していたのだが、胡座をかいてしまったのだろう。

1つの事業しか力を入れてなかったが故に、他の事業への対処も建て直しもできなかった。

ちなみに僕としては、まったく別ジャンルの事業の方がよりリスクヘッジになると思っている。

そして不思議なことに、別ジャンルの事業をしていて視野が広がると、回りまわって他の事業の役に立つことも多い。

まずは自分のできることを増やすというのも、成功への近道なのだ。